
梶井基次郎から見た健康
梶井の短編作品群を「およそ類例がない」とし、模倣しようにも我々にはできない独特なものだと位置づける阿部昭は、梶井の「底抜けに子供らしい探究心や、苦もまた楽なりと言いたげな行文の克己の表情」などから、「理科系の青年の資質」がやはり感じられ、「それは言葉の最も純粋な意味で健康ということかもしれない」とし、その「健康」が、「サナトリウム臭い風景」や、病弱な「詩人めかした趣味」と梶井が無縁であった理由だと考察している。淀野隆三も、梶井の作風を「頽廃を描いて清澄、衰弱を描いて健康、焦燥を描いて自若、まことに闊達にして重厚」と評している。(梶井基次郎 フレッシュアイペディアより)