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外来種から見た害獣
また、外来種をめぐるさまざまな利害関係者と合意形成を図るのは極めて困難であり、ときには激しく対立して大きな論争となることもある。その一例として、オオクチバスを特定外来生物に指定するための会議では、釣魚愛好家・公益法人・釣り業界等・政治家の反対を受け、議論は大きく難航した。結局このオオクチバスに関しては「釣り人の協力を得る必要がある」とする環境省によって、一旦は指定を先送りすることが決定されたものの、環境相の指示によって方針転換した結果、2005年1月31日に決定された第1陣の指定リスト案に記載されることとなった。オオクチバスの場合は駆除対象になったが、侵略的外来種に該当するもののなかでも害獣・害虫等の駆除に役立っている動物や、ニジマスのように、外来種であっても、人間にとってその存在が好都合であるために、駆除の対象から除かれるものはまだまだ多い。(外来種 フレッシュアイペディアより)
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外来種から見たカササギ
外来種対策を進めるうえで障害になるものとして、外来種が地域の文化にすっかり浸透してしまっていたり、保護対象になっていたりすることがある。例えば、身近に生き物を増やしたいという善意による魚の放流やホタルの放虫は各地で当たり前のように行われており、マスメディアもしばしば美談として報道することもあるが、こうした生物の放逐は外来種問題となりうる危険性をはらんでいる。そのため、無秩序な放流を防ぐ目的で専門の研究者や学会が中心となってガイドラインが作成されている。野生化で絶滅した生物について他地域から近縁な個体群を導入して復活させる再導入(re-introduction)においても、遺伝的多様性や在来の生態系に対しての配慮が求められている(オオカミの再導入やトキなどを参照)。特異な事例として、分類学上の扱いの変化によって希少種が外来種になってしまうことがある。タンカイザリガニは滋賀県の淡海湖にのみ生息する希少なザリガニとして地域の人々に保護されてきたが、その後の研究で北アメリカ原産のウチダザリガニと同じ種(もしくは亜種)であることが判明した。北海道の固有のヒキガエルとして考えられていたエゾヒキガエルも本州から持ち込まれたニホンヒキガエルであることがわかっている。これらの外来種が生息する地元では、その生物種が外来種であると明らかになった現在でも保護活動を続けている。こうした矛盾した事例はほかにも存在し、例えばケラマジカやカササギは天然記念物に指定されている外来種である。また、自治体の鳥として外来種を指定している地域もある(例:サウスダコタ州のコウライキジ、埼玉県のシラコバト、佐賀県のカササギ)。極端な例では、2010年に山梨県西湖で再発見され大きなニュースとなったクニマスは、秋田県の田沢湖から持ち込まれた個体群に由来するため、事実上、絶滅種から一転して国内外来種となったことになる。(外来種 フレッシュアイペディアより)