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東京大空襲から見た不発弾
使用された焼夷弾は当時の通常爆弾とは異なる構造のものだった。通常の航空爆弾では、瞬発または0.02?0.05秒の遅発信管が取り付けられており、破壊力は主に爆発のエネルギーによって得られる。しかし木造の日本家屋を標的にそのような爆弾を用いても、破壊できる家屋が爆風が及ぶ範囲のものに限られ、それを免れた家屋は破壊されず散発的な被害にとどまってしまう。そこでアメリカ軍は、市街地を火災により壊滅させるため、爆発力の代わりに燃焼力を主体とした焼夷弾を用いることとし、その焼夷弾も日本家屋に火災を発生させるために新たに開発した。投下時に確実に日本家屋の瓦屋根を貫通させるため、上述した形状が選ばれるとともに、空中での向きを制御する吹流し状のものも個々の容器に取り付けられた。これにより、各容器が家屋の内部に到達して内部から火災を発生させる確率が高められた。都内では当時すでに、関東大震災を教訓にした燃えにくい素材で建物を補強する対策がなされていた。しかし、防火性のある瓦屋根を貫いて建物の内部で着火剤を飛散させ、中から延焼させる仕組みのこれら焼夷弾の前にその対策は徒労に終わった。この焼夷弾の開発の参考にされたのは、ドイツによるロンドン空襲において回収された不発弾であった。(東京大空襲 フレッシュアイペディアより)
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