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ヨーロッパにおける政教分離の歴史から見た福祉
アンシャン・レジーム(「旧体制」)におけるカトリック教会は、国教としてフランスの王権と一体化しており、文化の面でも行政の面でもブルボン朝による絶対王政を支えていた。フランス全土に網の目のように張り巡らされた教区教会は、1667年の(民事王令)以降、教区司祭のもと洗礼証書・婚姻証書・埋葬証書の認証というかたちで戸籍業務を一手に担い、教区内住民の生誕、結婚、死や葬送に関する一切の記録を納めていた。王から発せられる命令もミサの祭壇から教区の人びとに告知された。教会組織はまた、民衆向けの医療、福祉、教育などの機能もはたしており、人びとの日常生活に深く入り込んで王政による臣民統合を基礎づけるものとなっていた。一方、カトリック教会は、教区民の助言者であり、告解やミサを通じて信者の生活規範を点検する道徳統制者でもあり、また、常に信者本人や家族に対して日々の信仰生活のありようを問い、その冠婚葬祭に際して宗教的な証しを求めた。プロテスタントの信徒はといえば、カトリック教会の台帳には登録されなかったため、たとえば結婚については正式なものとは認められず、したがって、正式な夫婦でない男女から生まれた子どもたちもまた社会的には私生児として扱われた。そして、洗礼証書(現代でいう出生証書)のない死者の埋葬には、しばしば大きな困難がともなったのである。プロテスタントやユダヤ教徒は「不法に」ではなく、いわば「合法的に」差別されていた。その状態に変化の兆しがみられたのは、国王ルイ16世の名においてプロテスタント諸派に信仰の自由と戸籍が与えられた1787年のことであり、ここにみられる「宗教の相対化」はしたがって後述するフランス革命の所産ではなく、「啓蒙の世紀」が培ったものであったといえる。(ヨーロッパにおける政教分離の歴史 フレッシュアイペディアより)
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政治から見た社会福祉
次に政治の規範的問題に移れば、多種多様な政治イデオロギーがこの問題に応答している。政治イデオロギーとは後述するようにさまざまな問題に対する政治的態度を指導する観念の体系であり、代表的なものに自由主義や保守主義、社会主義などがある。また個別的な問題に対するフェミニズムや環境保護主義があり、さらに宗教原理主義までをも含めればさらに政治的態度の種類は多様なものだと認められる。これらの思想や態度が主要な論点としている規範の問題は人間本性や社会の自然なあり方、そして自由や平等、さらには幸福や正義などの理念を踏まえた上での統治者の権力、被治者の権利などに及んでいる。こうした議論が現実の政治秩序を理論的に基礎付けており、憲法、外交、選挙、基本的人権、市場、社会福祉、義務教育、国防などの在り方を示している。(政治 フレッシュアイペディアより)
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