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脳血管障害から見た脳浮腫
上記表は脳梗塞における MRI の典型的経時的変化である。超急性期は細胞性浮腫のため拡散係数が低下し、それは DWI にて高信号、ADC-MAP で低信号という形で表現される。急性期では毛細血管の BBB の破綻により血管性浮腫が起る。血管性浮腫により単位組織あたりの水分量が増加するため T2WI にて高信号を示すようになる。急性期に再灌流により血管性浮腫が増悪し、著明な脳浮腫や出血性梗塞を起こすこともある。亜急性期になると細胞壊死と血管壊死により拡散係数が上昇してくるため、一時期見かけ上正常化 (pseudo-normalization) する。拡散強調画像では T2 shine through の影響をうけて亜急性期後半まで高信号が持続する。この現象があるために拡散強調画像で高信号でも拡散係数の低下や脳梗塞超急性期と言えずとすることができず、ADC-MAP を併用して評価する。発症2週間ほどでCTでも血管性浮腫の軽減により一時的に病変が等吸収になる。しかし不明瞭化はしており FE (fogging effect) と言われる。亜急性期では軟膜髄膜吻合による側副血行路の発達や代償性の灌流増加にて比較的小さな梗塞巣内の出血が認められることがあり、T2*にて低信号を示す。これは急性期の出血性梗塞と異なり、重篤な神経症状の増悪を招くことはないが、ラクナ梗塞の場合はこれらの所見がある場合は抗血小板薬投与をしない方が無難とされている。その後は慢性期所見として T2WI 高信号となるが、組織欠損の程度により FLAIR 画像で低信号化したりする。細胞外液腔の開大によるものである。(脳血管障害 フレッシュアイペディアより)
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脳血管障害から見たヘルニア
急性期は極端な高血圧を除き、降圧しない。慢性期は再発予防のために降圧する。救急室で行うべきこととしては、出血部位の同定を含めた診断とヘルニアや水頭症といった合併症の評価である。緊急手術の適応となる脳出血には被殼出血、小脳出血、皮質下出血、視床出血があげられる。被殼出血、小脳出血、皮質下出血では血腫除去術、視床出血では脳室ドレナージが標準的な術式である。手術適応は施設によっても異なるが、被殼出血の場合は血腫量が31ml以上の時や意識障害があるとき、脳の圧迫所見が強い時は緊急手術となる。小脳出血では血腫径が3cm以上のとき、意識障害(特にJCS III-100以上)があるとき緊急手術となる。皮質下出血の場合は血腫量が30ml以上の時、意識障害が昏迷以上であるとき、正中偏位が1cm以上あるとき、中脳周囲槽の変形があるとき緊急手術となる。視床出血では脳室穿破や水頭症が認められるとき緊急手術となる。(脳血管障害 フレッシュアイペディアより)
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脳血管障害から見た脳梁
最も有名なくも膜下出血のCT所見にペンタゴンといわれる鞍上槽への出血が知られているが、これは頭蓋内内頚動脈動脈瘤破裂の場合によく認められるもので、それ以外の動脈瘤破裂によるクモ膜下出血ではこのような画像にはならない。また破裂動脈瘤の30%ほどに脳内出血を合併すると言われている。脳動脈瘤の好発部位としては前交通動脈 (Acom)、中大脳動脈の最初の分枝部、内頚動脈-後交通動脈 (IC-PC) とされている。前交通動脈瘤では前頭葉下内側および透明中隔に、IC-PC では側頭葉に、中大脳動脈瘤では外包および側頭葉、前大脳動脈遠位部動脈瘤では脳梁から帯状回に脳内血腫を形成する。高血圧性の脳内出血と明らかに分布が異なるほか、原則として近傍にクモ膜下出血を伴っている。亜急性細菌性心内膜炎や絨毛がんなどでは動脈瘤を合併し、クモ膜下出血、脳内出血を合併することが知られている。以下に出血部位から責任動脈瘤を推定する方法を纏める。(脳血管障害 フレッシュアイペディアより)