-
おばけ煙突 (漫画)から見たペテン師
つげは『幕末風雲伝』を描いたころより作風が急に暗くなる。これはその当時下宿していた吹き溜まりのようなアパートでの生活での影響からだとつげ自身が回想している。そこにはペテン師や売春婦などが住んでおり、唯一知的な人物には画家がいて、彼とはその後長く付き合いが続いた。独身者が40名ほども住むアパートだったが、部屋は3畳しかなく夫婦で住む者もいた。ペテン師は50代後半の紳士然とした人物で廊下で衣類やバッグ、時計、ライターなど当時のブランド物を展示して売り始めたり、そのうち住人から言葉巧みに会社設立話で大家や住人に出資させ、その後1年ほどで行方をくらましてしまう。この話は後の『池袋百点会』のヒントにもなっている。つげはこのアパートで麻雀や花札を覚える。こうした底辺の人たちの生活に紛れた影響が作風に暗い影を落とし始める。(おばけ煙突 (漫画) フレッシュアイペディアより)
スポンサーサイト