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風鈴から見た吉兆
日本では民家の軒先に吊るす風鈴がいつから存在するのかはっきりしないが、寺では通常、相輪や堂の軒の四方に「風鐸」(ふうたく)と呼ばれるものが吊り下げられている。これらは青銅でできており、強い風が吹くとカランカランというやや鈍い音がする。強い風は流行病や悪い神をも運んでくると考えられていたことから、邪気除けの意味でつけられており、この音が聞こえる範囲は聖域であるので災いが起こらないという。中国では唐の時代に竹林の東西南北に風鐸を吊り下げて物事の吉兆を占う「占風鐸」というものがあり、それが日本に仏教建築文化とともに伝来したと考えられる。平安時代後期には貴族の屋敷でも軒先に魔除けとして風鐸を吊るしたことがあったというがよくはわかっていない。「風鈴」という表記は鎌倉末期に作られたとされる国宝『法然上人行状絵図』に「極楽の七重宝樹(しちじゅうほうじゅ)の風のひびきをこひ、八功徳池(はっくどくち)のなみのをとをおもひて、風鈴を愛して」とあるが、これは「ふうれい」と読む。絵図の作者が風鐸と書かずに風鈴と記したのは中世には鈴を持って踊るさまざまな田楽風流踊りが各地で流行したことが影響したとも考えられる。(風鈴 フレッシュアイペディアより)
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風鈴から見た鈴
鈴や鐘、太鼓、笛といった音のでる器物は、人類の歴史の古くから人間の暮らしや精神活動に深くかかわってきた。音は、人間にまつろわぬ獣や魔物を追い払って己の生命を守る楯であり、同時に己の仲間である獣や神を引き寄せる合図でもあった。日本でも縄文時代には既に土鈴(どれい)と呼ばれる音を出す用途を意図して作られた器物が存在し、農耕が開始してからも農作物を荒らす動物を追い払うため鳴子を田畑に設置したりしてきたし、現在でも山菜採りなどで山に入るときには熊除けなどのために鈴を腰につけていく。文字を持たない共同体においても人々が神を呼んだり共同体の結束を確認する祭りに楽器と音楽は欠かせないし、日本の祭りでも神や仏を呼ぶのに楽器と音楽を用いる(人間を楽器と考えるならば歌謡と舞踊を用いると表現してもよい)。神社で鈴を鳴らして神に拝むのもそうであるし、仏壇で鈴を鳴らして先祖を拝むのも、除夜の鐘も、根源的には人間が音に対して抱いている観念、すなわち超常的な力を持つものに通じる畏怖と人間が操り制御することのできる親しみとが根底にある。(風鈴 フレッシュアイペディアより)
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